シークレットガール!【完】
「コイツ、時々殴りたくなるような嫌味言ってくるよな」
「分かるよー志貴クン。でも、正論で言い返せないんだよねー」
「………………」
気付いてますでしょうか。
時々あなた方も、殴りたくなるような嫌味を言ってくることを。
まぁそんなことはさておいて。
「お祭りです!!まずかき氷を制覇しましょう!!」
彼らの腕をきつく掴んで、かき氷の屋台を目指す。
走るたびに、
ちりん、ちりん。ちりん。
あの鈴が美しく、悲しげに音を奏でる。
何で、こんなところにも持ってきたのだろうか。
何でだろうか。
とても泣きたい気分。
いつも聞いてるこの鈴を、いつも道しるべとしているこの鈴を。
───壊シテシマイタイ。
大好きなのに、綺麗なのに。
何故か壊してしまいたい。
狂気じみたその気持ちは、祭りの覇気に吸い込まれる。
何でこんな気持ちになるのだろうか。
あたしはそんな気持ちも要らないし、あっても邪魔になるだけなのに。
──『ねぇお願い、美沙ちゃん』
あたしはただ、あの人の気持ちを踏みにじりたくなくて。
───『志貴くんは、優しいから』
あの人が間違ってるなんて分かっていたけれど、彼女の気持ちに応えたくて。
あたしは馬鹿なのだ。
間違ってるなんて、百も承知。
だけど、それを間違ってると肯定すると、あたしの存在意義が無くなってしまう。
ただでさえ、あたしは誰にとっても邪魔なモノにしかならない。
優季にとっても、志貴先輩にとっても、はるるんにとっても。
いつか、切り離される。
それが怖くて、辛くて、悲しくて。
ただ、逃げたくて。
現実から目をそらしたくて。
春が待ち遠しいような寒い寒い冬に、
気紛れで視線を向けたあの桜の木の上で。
泣いている彼を見た。