シークレットガール!【完】



「ほら、志貴先輩のところ行こ?」


はるるんの腕を掴んで、数歩先で花火を仰ぎ見る志貴先輩のところへと引っ張る。



───バーンバーンバーン。



花火の音は絶えず、音を大きくならす。


大きな華が夜空に咲き誇り、消える。


それが絶えず絶えず空で繰り広げられる。


何が面白いんだか。


音も大きいし、騒音じゃん。


そうやって考えるあたしは絶対乙女のして終わっているだろう。


「志貴先輩」


「なんだ?」


「何が楽しいんですか?」


「…さぁ?」


なんだそれ。


「美沙ちゃん」


「何?」


「トイレ行きたい」


「………………」


それ、あたしに言う必要ありましたっけ!?


「うん。いってらっしゃい」


何を求められたのか分からなかったので、適当に無難な言葉をセレクトして返す。


「ついて来てくんないのー?」


連れションですか、さいですか。


「やだよ、何が悲しくてはるるんのトイレにお供せねばならん」


「もし、志貴先輩がトイレに行くならー?」


「喜んでついてきます」


格差社会だー、と彼は現実の世を嘆き出す。


めんどくさい。


「トイレの前までならいいよ」


「…え。どこまでついてく気だったのさー」


はるるんの目は一気に格差社会に悲しんでいたのに、冷めた冷たい眼差しに早変わりした。


謎過ぎることこの上なし。


「中までトゥギャザーでしょ?そして、トイレの中で女子トークをする。これぞ連れション。ビバ連れション。…なにか違う?」


「志貴。この子すんごい勘違いしてるんだけど。マジでオンパレードなんだけど」


若干うつむき気味に彼はそう答えた。


時折見えたその顔はりんごのように赤く染めていた。


しまいには、やられたとか言って、彼は片手で顔を覆う。


「…え、何か勘違いしてた?」


今回は結構真面目にお答えしたおつもりなんですけど。





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