タカラモノ~小さな恋物語~



「…もう11時か。」


けっこう寝てたんだんね、私。



気分転換に部屋の片づけでもしようかと思った時だった。




♪~♪~♪~


部屋に軽快なメロディが鳴り響く。


「え、電話…」



あわてて、スマホを手に取って確認する。



「……っ!」



私は息をのんだ。


画面に表示されていたのは――――【相川 健吾】



頭が軽くパニックになる。




なんで、なんでケンが?


だってケンは今頃宇野さんと…



私は部屋の真ん中で立ち尽くした。


とりあえず出なきゃ。


通話ボタンを触る指が少しだけ震えた。



「も、もしもし?」


「あ、ももてぃ?」


出ると、いつも通りの陽気なケンの声がした。


まるでこの間のことは何も無かったような、いつも通りのケンの声。



「ど、どうしたの?」


「ももてぃ今すぐ支度して駅前まで来て!」


「は、えっと…」


突然のケンの言うことに、戸惑いを隠せなかった。


「水族館!行くよ!」


「はっ…?何言ってんの、だってケン、宇野さんと…」


「だーっ!もういいから!駅前、来て。」


「ちょ、ちょっと待ってよ、第一そんなにすぐ支度出来ないしっ」


「待つよ。」


「え…?」


「ももてぃのこと、何時間でも待ってるから。」


「……。」



また、私の胸の鼓動が大きく波を打った。





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