タカラモノ~小さな恋物語~
「お、もうすぐだな、イルカショー。」
たくさんの場所を回り、最後に水族館のメインイベントも言えるイルカショー。
イルカショーの会場へと向かい、水がかからない場所で真ん中の方を選び座った。
「…っ」
ち、近い…
今日1日の内で1番の密着度。
「なんか腹減ったな。ももてぃなんか食べる?」
「あ、うん。食べようかな。」
あ、そう言えば今日1日ほとんど何も食べてないや。
朝ごはん、お父さんにあげちゃったし。
「ももてぃ、ここ座ってて。なんか買って来るから。」
ケンが売店へ行って私は深いため息をついた。
今日1日なぜか緊張しっぱなし。
よく分からないんだけど、いつもと違うケンの雰囲気にもドキドキしちゃって…
こんなにペース乱れてるのは私だけ?
外は寒いはずなのに、寒さなんて感じるどころか火照っちゃう気分。
「もぉ…」
でもやっぱり頭のどこかでずっと考えてた。
…宇野さんのこと。
あの時ケンはなんで何も言おうとしなかったの?
まるで、あとで話すような素振だった。
本当に水族館に来たのが私でよかったのだろうか?
私は宇野さんの恋の協力者なはずなのに…。
分からない、考えれば考えるほど分からなくなる。