タカラモノ~小さな恋物語~
「お待たせ~」
しばらくするとケンが戻って来た。
あ、お金…と、財布を出そうとする私をケンがとめた。
「あ、これくらい奢らせて?」
「え、でも…」
「いいの。じゃぁ、この間怒っちまったお詫びな。」
「あ…」
私は言葉を失う。
「もうすぐ閉館だな…まだももてぃ時間ある?」
私は黙って頷く。
「ちょっと散歩しねぇ?」
「うん…」
もうすぐ閉館なんだ。
言われてみれば、日が傾いているような気がする。
冬はあっという間に暗くなるね。
散歩…か。
やっとゆっくりケンと話せるね。
「ももてぃ、焼きそばかたこ焼き、どっちがいい?」
ケンは売店で買ってきてくれたものを差し出した。
「んー、たこ焼き!」
「はいよ。」
「ありがとう。」
ねぇ、ケン?
私ね、ケンとの些細なことでもとても楽しくて、ずっと続けばいいなって、そう思うんだ。
例えば、こんなふうにご飯を食べたり、何かの待ち時間を過ごしたり…
こんな気持ち、今まで持ったことなんて無かったよ。