タカラモノ~小さな恋物語~




イルカショーの前にケンは散歩をするって言っていたけれど、どこに行くんだろう?


この後どうするかも分からないまま、水族館を出た。



あたりはすっかり暗くなっていて、灯台の光がとても幻想的だった。



「よし、ももてぃ。このまま少し港沿いを歩いて行こうぜ。」


「うん。」



ゆっくり、ゆっくりと二人で並んで歩く。


なんて穏やかな時間なんだろう。



謝りたいこと、聞きたいこと、言いたいことはたくさんあった。


けれど、切り出し方が分からなかった。



「なんつぅーか…」



しばらくして、ケンがポツリと言った。



「この間はごめんな。」


「う、ううん。私の方こそ、ごめんなさい。」


「いや、ももてぃは何も悪くねぇよ。俺がなんか一人で突っ走て、訳分かんねぇこと言って、声荒げて…。ごめん。」



私は小さく首を横に振った。



「今日、午前中に宇野を呼び出して、話したんだ。」



宇野さん…


宇野さんの名前を聞くだけでドキッとしてしまった。



「宇野から全部聞いたよ。ごめんな、ももてぃに迷惑かけて。」


「そんな、迷惑だなんて…」


「てかアイツの行動力にはビビったけどな。」



ケンは少し笑った。




< 129 / 157 >

この作品をシェア

pagetop