タカラモノ~小さな恋物語~
イルカショーの前にケンは散歩をするって言っていたけれど、どこに行くんだろう?
この後どうするかも分からないまま、水族館を出た。
あたりはすっかり暗くなっていて、灯台の光がとても幻想的だった。
「よし、ももてぃ。このまま少し港沿いを歩いて行こうぜ。」
「うん。」
ゆっくり、ゆっくりと二人で並んで歩く。
なんて穏やかな時間なんだろう。
謝りたいこと、聞きたいこと、言いたいことはたくさんあった。
けれど、切り出し方が分からなかった。
「なんつぅーか…」
しばらくして、ケンがポツリと言った。
「この間はごめんな。」
「う、ううん。私の方こそ、ごめんなさい。」
「いや、ももてぃは何も悪くねぇよ。俺がなんか一人で突っ走て、訳分かんねぇこと言って、声荒げて…。ごめん。」
私は小さく首を横に振った。
「今日、午前中に宇野を呼び出して、話したんだ。」
宇野さん…
宇野さんの名前を聞くだけでドキッとしてしまった。
「宇野から全部聞いたよ。ごめんな、ももてぃに迷惑かけて。」
「そんな、迷惑だなんて…」
「てかアイツの行動力にはビビったけどな。」
ケンは少し笑った。