MAHOU屋
レインさまのお店はメニュー表がない。
全て依頼者した人の内容に応えるようなクッキーを作っている。
その内容のほとんどが悩み相談のようなもので、ときどき作るクッキーのイメージがわからないとき、チヒロたちに訊いている。


チヒロが借りてきた本、レインさまが読んでいた本。
同じ「まじょ」の三巻目は「プリン」の作り方が載っていた。
主人公の女の子の学校の先生がある子供に好かれなくて困っている話。
その子供はクラスメートとも親との関係もうまくいっていなくて、担任としてどうしたらいいかって悩んでいる。
それを知った主人公が魔女の力を借りてプリンを作り、二人に食べさせるという話だ。
その日をきっかけに、その子供はクラスに馴染んでいく。


もしかしたら今回は、そういった悩みがレインさまに寄せられたのかもしれない。
「プリン」とは関係ない、チョコクッキーになりそうだけれど。


アトリエから別の、ナッツのような香ばしい香りが漂ってきた。
次はどんな悩みで、どんなクッキーを焼くのだろう。

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