MAHOU屋
「アイツ、友達いたんだっけな? アイツ、クソ性格悪いからな、お前よく友達でいたな」


岩城、岩城、岩城……。
デビルは何度も呟いて、目的のものが見付かったのか、ぽんと手を叩いた。
デビルには四つ年下の弟がいる。


「思い出した! ナオユキの後ろに、金魚のフンみたいにくっついてたヤツだろ! 不憫だなぁって思ってたんだよな」


岩城さんは苦笑いしている。
デビルは昔から、今のデビルのままだったようだ。


「ナオユキくんは元気ですか?」
「元気じゃねえの? 会ってないから生きてるのかもわからん」


そう言いつつも「先日長女が産まれた」と近況を知っているあたり、兄弟仲はそれほど悪くはないのかなと思う。


「立ち話もなんだから座れ座れ。茶でも入れたる」


デビルがチヒロを呼ぶので、レインさまが作って余った黒い液体をコーヒーメーカーから注ぐ。
でもこれはデビルのために入れるのではなくて、岩城さんのためだ。


「ホットしかなくてすいません」


岩城さんは丸を描いたような肩を更にすぼめて「ご丁寧にすいません」と頭を下げた。
デビルは勝手に棚から皿を、そしてショーケースにあった最後の一袋を持ち出して、テーブルに置いた。
午前中焼いていたナッツの香りの正体は「メープルアーモンドクッキー」だ。
デビルは岩城さんにすすめているのに先に自分が食べていて、その横からソラが手を伸ばして、やっぱり岩城さんより先に食べている。
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