MAHOU屋
「クッキー買いに来たんじゃないの?」


レインさまが裏庭から戻ってきた。
岩城さんは結局ひとつも食べられなかった。


「なんとなく、こうなること、わかってたけどね」


レインさまは岩城さんに軽く会釈をして、キッチンに立った。
今からクッキーを焼くみたいだった。
営業時間外に焼くのは珍しい。


「お兄さんがこの店をやっているんじゃないんですか?」
「いいや違うぞ。アイツがやってる。今日は晩飯をご馳走になりにきただけ」


岩城さんの瞳が大きな眼鏡越しでも白黒しているのがわかる。
「この二人は俺の友人の子。わけあって、アイツが引き取ったんだよ」とデビルは簡単に説明した。


「そんなお前も訳ありそうだな。話してみろよ」
「いや、そんなの悪いですって」
「これも何かの縁だろうよ」


デビルが岩城さんの向かいに座って、その膝の上にソラがぬいぐるみのようにのっかった。
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