MAHOU屋
「父の病状は安定したんですけど―――」


相変わらず就職先が見付からないらしい。
コネならあるぞと、デビルはレインさまを見る。


「アイツ、ベルコーの娘だよ。就職先紹介してもらったら?」


ベルコーはレインさまの家族が経営しているスーパーのひとつだ。
地元だけでも四店舗ある。


「じゃあ、塩谷さんのところの?」
「そうそう、地元民を率先して取ってくれる企業でもあるぞ。ただ店舗が多いから、社員になると千葉やら栃木やらにも飛ばされることもあるけどな」


デビルは見て知っている風に言うけれど、レインさまのご機嫌を窺っているようで、ちらりちらりと視線をキッチンへ送っている。
レインさまは一仕事終えたようで、作業台でノートパソコンを広げている。
デビルの視線も会話も、気付いてはいないのだろう。
そこへオーブンが予熱完了を告げ、そこに天板を入れていく。


「でもぼく、接客業は向いてなさそうで」
「やる前から決めつけることはないと思うけどな」
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