ユウウコララマハイル
リビングに移動したカケルは、おまもりの修繕に取りかかる。


最初に始めたのはお守り袋の作製。
ソーイングボックスに適当に入っていた端切れを形よく裁断して、接着心をアイロンでつけた。
そうしてから袋縫い。
裏返して、角を目打ちでしっかりと出し、もう一度アイロン。
目打ちで紐通しの穴を開けて紐を通し、結ぶ。
紐を切りそろえたら、解れ防止にボンドで接着。
我ながらここまではスピーディーにできたなと自画自賛する。


次は中の、お守り本体だ。


汚くなってしまった生地をお守り袋に入る大きさに切り取る。
そして今回はその生地に文字を書こうと思っている。


「なにを書こうか」


咄嗟に思いついたのは「部屋を綺麗に」だったけれど、それは即座に却下した。
以前使った言葉も使ってはならない。
だから、それ以外の言葉。


「どうするかな」


布用の緑のペンを持ちながらカケルは唸る。
腕を組みながら悩んでいると、目に入ったのは先ほど持ち帰った天使の羽根だ。
照明に照らされてビニールが光っている。


中村はどんな気持ちでこれを選んだのだろうか。
これをもらったとき中村は「ラッキー倍増」と言ったのだ。
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