センターマイクの君へ(仮)
 兄は新聞をヒラリと開き読みふけりながら、クスクスとルイの反応を楽しんでいる。
 そんな兄にルイは腹を立てながら料理を進めていくと電話がなった。

「お兄ちゃんとってー」
 今は火を使っていて手が離せない。それに、家の電話がなるのは兄に用がある人くらいだ。

 兄は面倒なオーラを放ちながらも電話をとった。

「はい、如月で…あ~、シノブか」

 ルイはハっと手を止めた。

 トリ?トリから電話なんだ…

 電話をする兄をじーっと見つめると、こっちへこいを視線を送ってきた。ルイは火をとめ手を洗い、エプロンで拭きながら電話へと近づいた。

「トリ、何だって?」

 電話をする兄に聞けば兄はニコっと微笑みながらも待て待てと手を出した。

「そうか…あ、今ルイと代わるから、うん…ははちょっと待って」

 受話器を渡され受け取る

「も、しもし…トリ?」
『もしもし!トリだよ』

 兄は会話を始めるとまたソファーへと戻っていった。

「今日何時に帰ってくるの?ご飯は?」
『あー、何も言ってなかったな…てか、今日お祭りなの知ってる?』

 トリの電話の向こうはざわざわとしている。いろんな人の声が聞こえるし…楽屋とかかな?


「うん、さっきお兄ちゃんが教えてくれた!あ、お祭り行くの?じゃー、ご飯いらないね」

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