センターマイクの君へ(仮)
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待ち合わせ場所は喫茶店
現地集合はわからなくなるかもしれないから、お互い分かりやすい場所ってことでお祭り会場から離れた場所になった。
息を荒げながらお店に入ると、可愛い店員さんがいらっしゃいませと言ってきた。ルイはニコっと愛想笑いをすると店内を見渡す。
「んー、まだきてないのかな?」
広くはない店内を、グルーっと歩き回った。浴衣姿の女の子が何人かいて「浴衣きてこればよかった」と、ちょっと自分の服装に後悔してるルイ。
「あ!ルイちゃん」
トリの声に振り返ると、お手洗いに行っていたのか個室から姿を現した。
「あ!いたいた…」
「ルイちゃんも何か飲む?」
少し歩き座っていた席らしき場所につくと、ルイが座るほうのイスを軽くさげた。
テーブルの上にはコーヒーカップが置いてある。中身は冷め切ったコーヒーがあとちょっとしか残っていない。
ルイはコップの中身からトリが随分前から待っていたんだろうと気づき微笑むトリの顔を見上げた。
「いつからここにいたの?」
「えー?なんで?」
「待った?」
「そこそこ…でも、待ち合わせ時間までには来たじゃん」
時計を見上げニコっと笑顔を作るトリは続けた。
「それに、予定より劇場から早く出たから俺の計算ミス!ルイちゃんが気にすることじゃないよ」