センターマイクの君へ(仮)
「どれくらいの時間がかかってしまうかはわからないけど…必ず返すつもりだよ!ルイちゃんには迷惑をかけてしまってごめんね」
鳥井は悪い人ではなさそうだ…。それに兄の親友なんだし、面倒な人とは基本的付き合わない兄だから大丈夫だとは思うが…ルイは兄のお人よしな性格に常に不安を抱いていた。
お金を貸すのはこれが初めてだから、慎重に考えたとは思うけど…
「ルイ、俺はお金なんて関係ないと思ってる」
急に真剣な顔をする兄の顔を見てルイは少し驚いた。
「俺は自分の親友が困っていたから助けた、ただそれだけだ。お金を返して欲しいとも思っていない。シノブは返すって言ってるけど…別にそんなの必要ないんだよ」
「何言ってんの?」
ルイは兄の言葉が理解できなかった。
お金は問題じゃないだとか、そんなの必要ないとか…今は売れていてお金があるからいいけど…今だから言えるだけだ。
「俺が作家として今日までやってこれたのは、こいつが学生の時にそばにいてくれたから…まだ全然売れてない俺の作品を”おもしろい”とか”絶対売れるよ”とか、言ってくれたんだ」
昔を思い出すように、遠くを見つめる兄
「あの時挫折してたら、今の俺はない。だから、今俺が手にしているお金とかは…半分はこいつのもんだ…それを、シノブのために使って何が悪い?」