センターマイクの君へ(仮)

「ハル…」

「俺はシノブに感謝してる。だからこそ、シノブが困ってるときは助けてあげたいって思う。そう思うのは普通だろ?それとも、ルイはそんなこと思わないか?」


 ルイの反応を分かっていて兄は微笑みながらクビを傾げる。

「わかったよ…でも、一緒に暮らすんだったら言ってよ!こっちだっていろいろ…準備ってもんがあるんだから!」

「忙しくてついな…それは悪かったよ」

 兄はルイの所までやってくると、ポンと頭に手を置き、クシャっと撫で優しく微笑みかける。

「それに、俺が仕事で詰まってるときこの家一人じゃ寂しいだろ?お前は寂しがり屋だからな」
「…そんなこと…」

 ない!とは、言えなかった。
 確かに、兄が仕事で締め切りに追われているときはいつも寂しい思いをしていた。

「これから夏休みだろ?俺は相変わらずの仕事の毎日だし…シノブもバイトとかで居ない時もあるかもしれないけど、2人じゃ広すぎて寂しく感じるこの家も3人なら少しは狭くなるだろ?シノブはいいヤツだしな、仲良くしろよ」

 兄は何処までも優しい人だ。
 自分の気持ちをここまで分かられているなんて、それの対処まで考えてくれているなんて…


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