恋愛ドクター“KJ”

グラスの秘密

 土曜日。

 昨日は、みどりを助けるための、話し合いの場を持つことができた。
 KJが立てた作戦通り、みんなで富士急ハイランドへ出かけることに決まった。
 これで、みどりの願いも叶う‥‥はずだった。
 しかしアスカは不機嫌だ。

 「だいたい、みどりがジェットコースターに乗れるか乗れないか、最初に調べるのがフツーでしょ。
 もう、なにやってんのよっ!」
 KJを呼びつけ駅前のマクドナルドに入るなり、アスカは台風のような勢いだ。

 「う~ん‥‥。
 女の子って、みんな、ジェットコースターとか、高いところから飛び降りる、ナントカっていうのが好きだと思ってた」
 KJだった。
 言い訳っぽくもあるが、何かを思い出しながらのセリフにも見えた。
 「なにそれ? ばっかじゃないの。
 そんなワケないでしょ!!」
 呆れ顔のアスカが叫んだ。

 「そうかぁ‥‥。みんな姉みたいじゃないんだな。
 じゃあ、次の作戦だね。
 ジェットコースターがダメなら、お化け屋敷でいこう。富士急ハイランドのお化け屋敷は有名だから」
 と、別の提案を示すKJ。

 「あのね。みどりはお化け屋敷もダメ。
 そういうコワい系は全部ダメ。
 もっと可愛い系とか楽しい系で考えて欲しいのよね」

 「あ~。そっちもダメか。
 何とかガマンさせて、ジェットコースターに乗せるかお化け屋敷に入れるってダメかなぁ。
 苦手だと、余計に成功率は高まるんだけど‥‥」
 KJは、本気らしい。

 「はぁ~。
 話になんないわね。そんなこと、できるはずないでしょ。
 そういうコワいのはダメなのよ。
 まったく、肝心なときに役に立たないんだから」

 アスカのイライラ感は高まるばかりだった。




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