恋愛ドクター“KJ”
 KJの話を聞いていても、どうもピンとこない。
 アスカは、詳しく説明するようKJに催促した。

 「昨日、5人がテーブルに座ったときの位置関係は覚えているよね。
 アスカとみどりが並んで、一也と祐二が並んだ。そして向かい合っていた」

 「間違いないわ」

 「僕は、わざとテーブルの横に椅子を置いて、みどりと祐二から近い位置を選んだ」

 「そうね。そうだったわ」

 「あれは、二人の様子をしっかりと観察したかったからなんだ。
 人って、そのときの気持ちの変化で、呼吸や瞬きの回数が変わってくるんだよ。
 もちろん、手や足の位置や動かし方にも、感情があらわれるよ。
 だから、そういう、外から確認しやすい部分を観ておけば、ウソをついているかどうかも分るんだ」

 「えー! ほんとー?!」
 
 「うん。簡単だよ。
 ベテランの刑事さんなんて、容疑者が上手にウソをついたつもりでも、みんな分ってるから」
 KJは、まるで、取調べの現場を見てきたように話した。
 それがKJっぽいと、アスカは思った。
 「そういえば、刑事ドラマでも、そんな感じよね。
 カッコイイね」
 いつの間にか機嫌が良くなっているアスカは、ニコニコと笑顔を見せながら反応した。

 「まあね。ベテランさんはすごいよ。
 それに、取調べ室って独特な雰囲気があって、適度に狭くて、あそこだとウソをつき続けるのも大変だから‥‥」
 そのKJの口ぶりは、自分の部屋を語るように明瞭だった。

 ≪えっ? なに?
 どうしてそんなに詳しいの??≫
 アスカは、説明のつかない恐さを感じていた。


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