明日晴れるといいね!
17
 数日後涼子が美和を訪ねてきた。玄関をあけた美和に涼子が
 「ちわす」
 「いらっしゃい」

美和が明るくこたえた。その手には先日渡したギターが握られていた。

美和の部屋に通された涼子が
「いい部屋ジャン。でどう最近調子は」
 「まあぼちぼち¥かな」
 「なんやそれ」
 たわいも無い会話が交わされた。

 「ちょっと待ってて。今お茶入れてきますから」
そういって美和は下に下りて行った。ほとんど家庭的な雰囲気を味わったことの無い涼子にとって家族というにおいのする美和がうらやましくもあった。しかし今現実美和が直面しているこの状況でそれは言い出せなかった。

「お待たせしました」
「ありがとう。気つかわないでよほんと。今日はコードの練習からするかな。何個かあるけど要は音楽用語で言うところの和音ていうやつ?その辺は美和のほうが詳しいと思うけど」

美和もギターを取り出し、こないだ買ったギターの入門書を本棚から出すと
 「なんだ本買ってんじゃん」
 「でも読んだだけだとなかなかうまく弾けなくて」

 「当たり前だのクラッカー。ちょっと古いか。指にタコが出来るくらいまで弾きこまないと、うまく弦が押さえられないんだよな、これが」
 と涼子が両手を広げて見せた。
 
「触って見れ」
「わほんと、かちかち」

 
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