恋する淑女は、会議室で夢を見る



・・・





「失礼します」

カチャ



もしかしたら、打ち合わせに参加するように言われるかなぁ?と、
かすかに期待をしていた真優だったが
待てど暮らせどその声は掛からず、

もうすぐお昼という時になって、専務室から出てきた氷室先輩は
『珈琲美味かったよ サンキュー
 じゃあ またな』
と、軽く片手をあげて行ってしまった。





・・・




カチャ

応接セットに残された、空っぽになった2人分の珈琲カップをトレイにのせて
テーブルを拭くと
思わず

…ハァ

とため息が出た。



「”あーぁ
 大好きな氷室先輩が行っちゃった…”」



自分の心の声ではない。

驚いて振り返ると、デスクの前に立っていた桐谷専務が
軽く首かしげ、肘を折って手のひらを前に出すようにして

「”営業に帰りたいな~
 大好きな氷室先輩と一緒に仕事をしていた時は
 毎日が楽しかったのに…”」

と、真優の声色を真似るように そう続けた。



「な… 何言ってるんですかっ!
 ちょ」

「”氷室先輩~愛してる”」

専務はなおもそう続け
両手を組んで、しんみりとしてみせている。

!!!

「やめてくださいっ!!!」
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