恋する淑女は、会議室で夢を見る


言うだけ言うと、
桐谷専務はツンと澄まして自分の席に戻った。




―― 何ですと…?


淡々と書類の整理をしている桐谷専務を見つめながら
混乱する頭で真優は考えた。


”Aカップの処女” というセクハラ暴言は、
とりあえず置いといて、


確かに最近は、自転車で出勤しないことが多い。


その理由は、スカートの形によって乗り辛いという事もあるし、
最近暑くなってきたので、自転車だと汗だくになってしまうのを避けるため、
ということもある。

日傘を差して歩く分には、まだそれほど汗はかかないので徒歩で来ているが
確かに専務の言う通り
今朝も昨日の朝も、同期の男性社員と途中から話しながら歩いてきた。



―― どうして知ってるの?

 もしかして車の中から見たとか?


きっとそうだ

そうに違いない…


――でも専務

第2営業部にいた時は、外回りでどうせ汗だくになるからって、
汗なんて気にしてなかったけど
秘書なんだから、汗だくはいけないって思って徒歩にしただけだし

もう少し暑くなったら、車で送ってもらったほうがいいかもしれないって
ユキと相談してたんですよ?




心の中で、そう言いながら
真優はおでこに貼られた付箋紙を手に取ると

そこには大きな文字で

  恋愛禁止!

と、書いてある。




「・・・」



―― なんですかこれっ!?

 ひどいじゃないですかっ!


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