恋する淑女は、会議室で夢を見る
そこにいたのは日本を代表する名門、西園寺家の御曹司
西園寺洸だった。
上流社会に真優の知り合いは少ない。
理由は、真優がその世界を避けてきたからではあるが
西園寺家は別だった。
真優の母と西園寺洸の母が古くからの友人ということもあって
幼い頃はよく一緒に遊んでいたのである。
「滝田の披露宴は災難だったね」
「あはは
そっか、洸さんもあそこにいたんですね」
クスクス
真優と洸が、そんなやり取りをしている隣で
「今日は欠席されると伺っておりましたが」
洸の秘書、鈴木翼と
桐谷遥人が話をしていた。
「打ち合わせがキャンセルになったんでね
それに…」
遥人が真優を見た。
「ウサギみたいに寂しいと死んでしまうらしい秘書の、気晴らしさ」
クスクス
「青木のお嬢さまですか
随分お優しい扱いで」
「この”子供”に辞められると
うっとおしい秘書をあてがわれる可能性が高くてね
そのストレスを考えたら”子供”のご機嫌とりのほうが まだマシってこと」
クスッ と、鈴木翼が笑い、
「とても”子供”には見えませんが」
今度は クスッ と、遥人が笑った。
「洸は女性秘書はついてないんだっけ?」
「ええ
珈琲は常務室のマシーンが
掃除はSPが
雑務の一切は私がしておりますので」
「うーん
それはそれで味気ないな」
クスクス
クスクス