恋する淑女は、会議室で夢を見る


洸たちと離れ
真優が早速チョコレートの味見をしようしてテーブルに向かうと…


「あれ? 真優?」

氷室仁がいた。


「あ! 氷室先輩 なんで?」

氷室仁が御曹司であることは知っているが
そうは言っても今は彼も、一介のサラリーマンである。

勤務中に、営業の仕事とは関係のないパーティに出席とは何故に?と
真優からすると素朴な疑問だったが

「それを言うなら お前もだろ」

と、返された。



「え?」

「遥人はKIRITANIの専務として出席してる訳じゃない
 だから お前もサボり中ってことだ」

氷室先輩がニヤリと笑う。


そういえばユキが
『お嬢さまの会社は、今回の出店に何か関わっているのですか?』
と聞いていた。
『さあ わからない』
と答えたが…

「え! そーなんですか?
 …知らなかった」


「ま、お互いさまってことだ

 それにしても真優
 随分化けたな」


そう言われて、ガラスに映った自分の姿を見つめると
見知らぬ別の自分が見つめ返してきた。


「… なんか変ですよね」


「変じゃないよ
 よく似合ってる」


氷室先輩にそう言われると、
お世辞だとわかっていても胸がキュンと熱くなる。

ポッと頬を染めると
ガラスの中の自分も、恥ずかしそうに照れていて
真優は慌てて目を逸らした。




「仁!」



声の主を見ると
それはスクリーンで見かける今売り出し中の、人気女優だった。

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