恋する淑女は、会議室で夢を見る



・・・



「今日は… そうですね
 前回より更に大人っぽく、グレーのドレスにしましょうか」

ユキが選んだドレスはスッキリとしたノースリーブのワンピースで
微かにひらめく裾のほんの一部がピンクになっているという、大人かわいいドレスだ。

「おーっ 素敵~
 …でも

 私に着こなせるのかな…」


小一時間前の、書類の間違いを思い出すと
また専務にバカにされるんじゃないかと、
真優は心の中で溜め息をついた。

… ハァ




「大丈夫です 私にお任せくださいっ!」

気合十分に腕をまくったユキは、瞳を輝かせながら
丹念に真優の髪の仕上げにかかったが、

鏡に映る真優は、

――格好ばかり大人っぽくしても
 中身がついていかなければ意味がない…

そんな事を思っているせいか、
不安そうに瞳が揺れていた。



「…お嬢さま

 お嬢さまの可愛らしい部分が顔を出して、可愛らしく見えるように
 大人っぽく見える時は
 お嬢さまの中の、大人な部分が顔を出してくれるということなんでしょうね」

「…ユキ」
 

「ほら! 素敵ですよ~

 お嬢さまが、色々な顔を見せてくださるから
 私はとっても楽しいです」




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