恋する淑女は、会議室で夢を見る
・・・
ユキに励まされたこともあって、
今夜の真優は見た目だけでなく
大人っぽい振る舞いにも磨きがかかっていた。
腰からそっと座席に座り、
素足に履いた銀色に輝くピンヒールを斜めにそろえる、淑やかな真優を
桐谷専務がジーッと見つめていた。
「・・・おかしいですか?」
「いいや
よくお似合いですよ お嬢さま」
そもそもその言い方が癪に障る真優は、キッと専務を睨み
ポケットチーフとネクタイしか変えていない桐谷専務に
「専務もいつもの10倍くらい素敵です」 と、返した。
「それはどうも」
専務は肩をすくめてみせる。
ブラック珈琲は未だに好きにはなれないが、
いつまでも子供子供とバカにされている訳にはいかない。
口元に手を当てて笑いを隠す様子の専務をもう一度睨んで
真優はツーーンと澄まして外を見た。
―― 次にマー先輩に会った時
大人になったねって言ってもらえるかな…
でもまさか真優はこの時、
専務にエスコートされたパーティに
マー先輩まで来ているとは思っていなかった…。