恋する淑女は、会議室で夢を見る


「…ったく
 どこに行ったんだ」

会場内を見渡しながら舌打ちしている桐谷遥人の前に現れたのは
西園寺洸の秘書、鈴木翼だった。


「どうかなさいました?」


渡されたグラスワインを不味そうに口にして
遥人は投げやりなため息をつく。

…はぁ





「パーティになると暇そうだな”生徒会長”」



クスッ

「また随分と懐かしい呼び名で」





鈴木翼は遥人や洸たちが青扇学園に通っていた時の、一学年上の先輩で、
千年に一度と謳われた青扇が誇る俊才である。

”鈴木”という苗字が多いということもあるが、
入学した時から卒業するまで、学長の指名で生徒会長をしていた彼を、
誰もが”生徒会長”と呼んでいた。

学園を卒業すると、どんな技を使ったのかアメリカの某有名大学を2年で卒業した。

天才が選ぶ道はどこなのか、その去就が注目され、
多くの企業に誘われるだけでなく彼を獲得するために国家も動いたとまで噂されたが
彼が決めた先は、西園寺グル―プだったのである。

その理由を鈴木翼は、『楽しい人生になりそうだから』と言った。



その言葉通り、西園寺洸の宰相よろしく忙しい日々を謳歌しているらしい鈴木翼は
”生徒会長”だった頃と変わらない飄々とした笑みを浮かべている。


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