恋する淑女は、会議室で夢を見る




―― マー先輩…


「真優?
 驚いたな
 すっかり雰囲気が変わって…

 とっても素敵だよ」

本当に驚いたように、
マー先輩は左右に首を振る。



「先輩こそ… 」



――こんな時、何て言ったらいいんだろう

素敵だとか
 大人っぽいとか
そんな平凡な言葉じゃなくて、
何かもっと相応しい表現があるはずだと思いながら、真優の口をついて出た言葉は、
自分でもガッカリするほどつまらないものだった。


「なんだかすっかり、社長さん って感じで…」





――でも本当に今のマー先輩は
 強さとか自信に溢れていて、社長という立場にピッタリで…

そんな言い訳が、
真優の口の中で言葉にならずに溶けてゆく。




「今度、食事でもどう?」



―― ぇ?


咄嗟のことに考える間もなく
真優がコクリと、頷くと

マー先輩は、弾けたように目を細めてニッコリと微笑んだ。



目尻が下がって、悲しくなるくらい優しげなその笑顔は
数年前、大学の構内で真優がよく見かけた笑顔そのままで


「じゃあ 土曜日
 真優の家に迎えに行ってもいい?」

そう聞かれた真優は

「はい」

と、つられたように微笑んでいた。







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