恋する淑女は、会議室で夢を見る


結局、専務に抱きかかえられる格好になり

「すいません…」
おずおずと、自分の席に戻った真優は


「…友情です

 私と先輩の間にあるのは」

外を見つめながら、呟くようにそう言ってキュっと唇を噛んだ。


心の中に浮かぶのは
マー先輩との楽しい日々より、
あの日の胸の痛みである…。



そんな真優の横顔をじっと見つめていた桐谷専務は
シートベルトを外し
スッと手を伸ばし

真優の髪に触れた。





「髪が乱れてる
 横を向いて」

「…ぁ
 すいません」


そして
言われた通り、横を向いて外を見つめる真優の髪をなでながら

耳元で

「片方に愛情があれば

  友情は長くは続かない…」

専務はそう囁いた。



その時、
リムジンのガラスに映る桐谷専務は、瞼を伏せ

スッと自分と重なるように見えて…



真優の首筋に触れたものが

専務の指先なのか

それとも唇なのか…

真優にはわからなかった。






*...*...*...*...*
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