恋する淑女は、会議室で夢を見る




次の日も、その次の日の金曜日も
桐谷専務には朝から途切れることのない来客と会議があり、
真優はボンヤリ考え事をする暇もなく
バタバタと忙しく走り回っているうちに過ぎていった。


そして迎えた土曜日。


「え? 白木匡さんと言えば…お嬢さま」

真優の遅い初恋の相手で
最初で最後の恋人の名前は、ユキの記憶にしっかりと刻まれている。

「違う違う!なんでもないよ
 偶然会ってね
 この前のパーティでちょっと話をしているうちに
 映画を見て食事をしようかってことになって」

少し照れたように、真優はそう言ったが、
長く真優を見ているユキには
真優のその笑顔の端に、戸惑いの色が浮かんでいることに気づいた。


「楽しく過ごせるといいですね」

「うん
 ユキ、私ね
 いつか先輩が結婚する時に、心からおめでとうございますって言えるような友達でいたいんだ
 私がいつか結婚する時にも、先輩におめでとうって言ってもらいたい」

ユキは、うんうん と、頷きながら
真優のその気持ちが、白木匡にうまく伝わることを心から願った。








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