恋する淑女は、会議室で夢を見る



「…ぁ

 いえ あの…」


「どうした?
 珈琲が恐ろしく甘そうに白濁しているのは
 そういう理由があるからなんだろう?」



慌ててカップを見れば
ブラック珈琲のはずがミルクで白くなっている。

「うわっ!」



専務がゆっくりと立ち上がった。


「…す すぐ入れ替えますっ!」

「別にいいよ
 疲れているから
 ちょうど甘いものを口にしたかったし」


専務はロッカーの方に歩いていくと
上着を脱いで、ハンガーに掛けた。

ネクタイをクイッと緩めながら

「で? 魔除けがどうしたって?」

と、聞く。



ドキドキ


  ドキドキ


真優の目の前に来た桐谷専務はニヤリと微笑んで
スッと手を伸ばし、

真優のネックレスの先で輝く 宝石のケーキを指先で弄んだ。




―― せ… 専務




「  … 何があったんだ?」










コンコン




「失礼します」と入ってきたのは瀬波で

これ幸いと、真優は瀬波と入れ違いに専務室を出た。






バタン




ハァ――…

  な… なんなのよ
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