恋する淑女は、会議室で夢を見る



プルプルと左右に顔を振り
カップに手を伸ばして珈琲を飲もうとすると、カップの中身はブラック珈琲だった。

「・・・」

自分にいれたはずのミルクたっぷりの珈琲は
今頃専務が、呆れながら飲んでいるのだろう

そう思いながら、頭を抱えるようにして深いため息をつく。


―― ハァ…





専務に宣言した通り、ミルクと砂糖を入れた甘い珈琲をやめて
ここしばらくはブラック珈琲にしていた真優だったが、
先週末から考えすぎて疲れている頭を慰めようと、特別に甘い珈琲をいれた。

その甘い珈琲と専務のブラック珈琲が入れ替わってしまったのだ。




こんなことでは”恋愛禁止”どころかクビになってしまう…


―― しっかりしろ! 真優

そう思いながら、戒めのように苦い珈琲をゴクリと飲んだ。




マー先輩は、何かはっきりとした返事をすぐにほしいわけじゃないと言っていた。

ただ、自分の気持ちだけはわかっていていほしいのだと…。


『時々会って、離れていた時間を埋めていこう』

―― そう言って、マー先輩が握った手…

真優は自分の手をボンヤリと見た。


気を取り直し、

カチャカチャ
と、キーボードを打ちながら
絵理が言っていたことを思い出す。

『大丈夫
 何度か会えば、答えはイヤでも出るわよ』



… 答え


――私なんかのために、会社の名前の片方を真優の”M”にしてくれたマー先輩…

ずっと私を想ってくれていたんだもの

答えは出るんじゃない
答えは決まってるんだ。

優しいマー先輩の気持ちに、私は応えなくちゃ

マー先輩の気持ちに、
 早く追い付かなくちゃ…
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