恋する淑女は、会議室で夢を見る



『でもね ユキ

 パーティで一度や二度見かけたからって
 話もしてないのに、
 お見合いの話を持ってくるっていうのはどうなの?
 私の何を知ってるの?って言いたくなる』

『お嬢さまったら
 その為にお見合いがあるんじゃないですか
 実際に会ってお話をする為にお見合いがあるんですよね?
 お会いになって気が向かなければお断りになればいいわけですし』


―― なるほど
そう言われると、返す言葉がなかった。


『お嬢さまのように、お写真も身上書もご覧にならずに
 お断りになられるのはどうかと思いますよ?

 少なくとも街でナンパしてくるような不届きな奴と違って
 皆さま自分のご身分を明かしていらっしゃる
 きちんとした方ばかりなわけですし』


そしてユキが最後に言った言葉。

『お嬢さまは、どんな方と
 ご結婚なさりたいんですか?』








「…」



専務室で会議用の資料をまとめる作業をしながら、
夕べの話をあれこれ思い出している真優を見透かすように

「今日もあれこれ考えることが多くて
 大変だねぇ」

桐谷専務がニヤリと笑った。


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