恋する淑女は、会議室で夢を見る


言われたことは図星ではあったが、
ボンヤリしていたわけでも
資料を間違えたわけでも、珈琲を入れ間違えたわけでもない真優は
キッっと、桐谷専務を睨んで

答える代わりに質問で返した。


「専務に会いに来る
 P社のあの秘書さんは
 P社の社長令嬢なんですよね?」


「そう」

「仕事で来るっていうより
 専務に会いに来ているって感じじゃないですか?」



長い足を邪魔そうに組んだ専務は
掲げるように書類を見つつ
椅子をユラユラと左右に揺らし

「うーん そうかもねー」

と、気のない返事をする。



「…

 専務もお見合いの話とかあるんですか?」

「あるよ」

「専務はお見合いとかで結婚するんですか?」


「まぁ普通はそうなるねぇ


 でも俺は普通じゃないから」

< 142 / 210 >

この作品をシェア

pagetop