恋する淑女は、会議室で夢を見る


――やっぱりそうだったんだ


「ほんとにすいませんでした…」

「あ、そうだ
 これあげる」

桐谷専務はデスクの端にあった小さな箱を真優に差し出した。

「…?」

「あんなに泣くほど傷つけちゃったお詫びの
 甘ーいチョコレート」



ヒシッと抱きついてオイオイ泣いた事を思い出し
ますます赤くなった真優は、
「…ありがとうございます
 失礼します」
深々と頭を下げて、そそくさと専務室を出た。



カチャ

―― ハァ…

自分の席に座って、
早速チョコレートの包みを開けると
チョコレートは、濃淡3種類のチョコレート色の他、白やピンクの粒が入っていて
その全てがハートの形をしていた。

…かわいい

ハートに意味はない。
そう思いながらも、ついニヤけてしまいそうになって、
キュっと唇を噛んだ真優はピンク色をしたチョコレートを一粒口に入れてみた。

チョコレートは甘くて

  ちょっと酸っぱくて

優しく溶けていった…。




・・・



その日の夜、
夕食のあと、真優は母と沢山話をした。

「真優、土曜日楽しみね
 真優がほんの少しでも気が進まないようなら
 パパにしっかり断ってもらわなきゃね」

「え?」

「真優はまだ若いんだもの
 無理してまで結婚することはないわ」

「…でもママ
 ママは私の歳にはお見合いでパパとの結婚を決めたんでしょ?」
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