恋する淑女は、会議室で夢を見る


――やっぱりそうだったんだ


「ほんとにすいませんでした…」

「あ、そうだ
 これあげる」

桐谷専務はデスクの端にあった小さな箱を真優に差し出した。

「…?」

「あんなに泣くほど傷つけちゃったお詫びの
 甘ーいチョコレート」

!

ヒシッと抱きついてオイオイ泣いた事を思い出し
ますます赤くなった真優は、
「…ありがとうございます
 失礼します」
深々と頭を下げて、そそくさと専務室を出た。



カチャ

―― ハァ…

自分の席に座って、
早速チョコレートの包みを開けると
チョコレートは、濃淡3種類のチョコレート色の他、白やピンクの粒が入っていて
その全てがハートの形をしていた。

…かわいい

ハートに意味はない。
そう思いながらも、ついニヤけてしまいそうになって、
キュっと唇を噛んだ真優はピンク色をしたチョコレートを一粒口に入れてみた。

チョコレートは甘くて

  ちょっと酸っぱくて

優しく溶けていった…。




・・・



その日の夜、
夕食のあと、真優は母と沢山話をした。

「真優、土曜日楽しみね
 真優がほんの少しでも気が進まないようなら
 パパにしっかり断ってもらわなきゃね」

「え?」

「真優はまだ若いんだもの
 無理してまで結婚することはないわ」

「…でもママ
 ママは私の歳にはお見合いでパパとの結婚を決めたんでしょ?」
< 187 / 210 >

この作品をシェア

pagetop