恋する淑女は、会議室で夢を見る

*...*...*...*...*





火曜日。
桐谷専務は朝からずっと会議続きだ。
このひと月、先送りにしていた仕事が沢山あるのだから、それも仕方がない。

真優は真優で、黙々と仕事をこなしていると…

コンコン

「こんにちは秘書さん」
真優の天敵P嬢が現れた。


「桐谷さんはいらっしゃる?」

「会議中ですが…」

時計を見れば2時半。
P嬢との約束は3時のはずだ。

「そう
 いいのよ 約束の前に秘書さんに聞きたいことがあったの」

「はぁ…」

P嬢はキョロキョロと廊下を覗き込み、
誰もいないことを確認するとバッグから週刊誌を取り出して、真優に見せた。

「これ どういうこと?」


  *LaLa、某御曹司と婚約か!*

大きな見出しと共に写る写真はLaLaと、
相手の男性は目線を隠してはあるが、それは桐谷専務に他ならなかった。

専務の服装は、この前見かけた白いリネンのシャツとは違う。

LaLaの服装も違っていた。


「本当なの?
 これで3回目よ LaLaとの噂
 やっぱり付き合ってるのかしら」

「…さぁ 私にはわかりません」

「本当に?何も聞いてないの?
 ここには?
 ここにLaLaが来ることはないの?」

「何も知りません」

「アメリカ人の秘書さんの話だと、
 石油王の娘との結婚話が進んでるようだって言うし
 どっちが本当なのかしら
 ってゆうか、どうなってるの?ねー秘書さん
 専務結婚しちゃうの?」

P嬢はブツブツと文句を言い続けたが
真優は席を立ってP嬢を応接室に促した。


―― 私は知らない

そんな噂があることすら 全然知らなかった…。



・・・



 
その日の夜、真優が選んでチョコレートは一番濃い色の一粒。

想像した通り、苦いチョコレートだった。


―― 甘いチョコレートって言ったのに 専務はウソつきだなぁ…


< 189 / 210 >

この作品をシェア

pagetop