恋する淑女は、会議室で夢を見る
*...*...*...*...*
火曜日。
桐谷専務は朝からずっと会議続きだ。
このひと月、先送りにしていた仕事が沢山あるのだから、それも仕方がない。
真優は真優で、黙々と仕事をこなしていると…
コンコン
!
「こんにちは秘書さん」
真優の天敵P嬢が現れた。
「桐谷さんはいらっしゃる?」
「会議中ですが…」
時計を見れば2時半。
P嬢との約束は3時のはずだ。
「そう
いいのよ 約束の前に秘書さんに聞きたいことがあったの」
「はぁ…」
P嬢はキョロキョロと廊下を覗き込み、
誰もいないことを確認するとバッグから週刊誌を取り出して、真優に見せた。
「これ どういうこと?」
!
*LaLa、某御曹司と婚約か!*
大きな見出しと共に写る写真はLaLaと、
相手の男性は目線を隠してはあるが、それは桐谷専務に他ならなかった。
専務の服装は、この前見かけた白いリネンのシャツとは違う。
LaLaの服装も違っていた。
「本当なの?
これで3回目よ LaLaとの噂
やっぱり付き合ってるのかしら」
「…さぁ 私にはわかりません」
「本当に?何も聞いてないの?
ここには?
ここにLaLaが来ることはないの?」
「何も知りません」
「アメリカ人の秘書さんの話だと、
石油王の娘との結婚話が進んでるようだって言うし
どっちが本当なのかしら
ってゆうか、どうなってるの?ねー秘書さん
専務結婚しちゃうの?」
P嬢はブツブツと文句を言い続けたが
真優は席を立ってP嬢を応接室に促した。
―― 私は知らない
そんな噂があることすら 全然知らなかった…。
・・・
その日の夜、真優が選んでチョコレートは一番濃い色の一粒。
想像した通り、苦いチョコレートだった。
―― 甘いチョコレートって言ったのに 専務はウソつきだなぁ…