恋する淑女は、会議室で夢を見る

「で、CEOとはその後どうなってるの?」

「… 別に どうにも」

ツンと澄まして、真優はイクラを一粒摘まむことに集中した。

――専務には関係ないでしょ


「…悪態つかれても、心配して駆け付ける優しい上司に向かって
 ふーーーーん
 そういう態度なんだ」



「じゃあ 専務は?
 P社のお嬢さまが心配してましたよ
 週刊誌に書かれた通り、専務はLaLaと婚約するのかって」

「婚約?」

「そ---ですよ 婚約
 アメリカの石油王の娘ともそういう話があるんですってね」

「・・・」

チラッと横目で見ると
桐谷専務は ニヤリとうれしそうに口元を歪めている。

「図星ですか」

「なんだ
 一昨日からやけにツンケンしてると思ったら
 それが原因か」

クックック

「な … な
 何言ってんですかっ 私は別にっ」


口元に拳をあててクスクスと笑っていた専務は、
真優をまっすぐに見た。

「ただの噂だよ
 そのどっちも

 LaLaとは高校の頃からの友人だから時々会うけどね
 この前の日曜日も用事があって会ったし」

「… そうなんですか?」

「そうだよ
 前に言っただろう
 恋人はいないって」

「…」
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