恋する淑女は、会議室で夢を見る

俯いたままチラリと真優が見上げると
桐谷遥人がギロリと睨んでいる。



「ピアノは習うように言われたんだろう?」

「… はい」

「ならどうして 弾けないんだ?」



「…言う事を聞けない子供だったので…」

「なるほど
 いかにも君らしい答えだな

 青木真優くん」


「…はい」

真優の声はどんどん小さくなっていく。


「君がどう思おうと
 世間は君を通して”青木家”を見る
 そのことをしっかり自覚したほうがいいと思うが」


「…はい」


ガックリと肩を落とす真優を見て
笑いをこらえるように口元を噛んだ桐谷遥人はスッと立ち上がり
テーブルから真優の荷物を取った。



そして
真優に手を差し出した。



「さあ、駐車場まで送るよ」
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