恋する淑女は、会議室で夢を見る

その他にもいくつかの実例をあげて
仁は先輩として見てきた真優の一年間を遥人に伝えた。


「真面目にやってきたんだよ
 真優は真優なりに」


遥人は仁の話を聞きながら、プロジェクト会議の中で
プレゼンをする真優を思い浮かべた。

パワーポイントを使った説明は、
適格に要所要所を抑えていた。

細かい点を見ればまだまだ稚拙ではあったが、
説明から伝わる真優の物事の捉え方に
少し感心したことを思い出す。


「腰かけ社員に認定されたみたいな
 今の扱いが悔しくてしょうがないんだ」

「青木の娘である以上
 どこに転職したって同じだろ
 いっそ父親のところで働いたほうがいいだろうに」

「まあな…」


氷室仁は、まだ何か言いかけたが
思い留まったように、冷めた珈琲を口にした。
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