恋する淑女は、会議室で夢を見る


*...*...*...*...*




ハァ…


その夜、
家に帰った真優は、そのままソファーに深く座り
ため息をついた。



『それで
 真優はどうしたいの?』


事情を知って相談にのってくれた華子先輩の言葉が、
真優の頭の中で、グルグルと渦を巻く。


『キャリアウーマンになりたいなら
 いっそ起業することを目標にしちゃうのはどう?
 ”青木”っていう名前だけで成功できるほど甘くはないだろうから
 それこそ実力を試せるわ』


確かにKIRITANIに入社する時は
バリバリのキャリアウーマンになることを目指していた。

でも今、
華子先輩にそう言われても、気持ちは奮い立たない。

それは、キャリアウーマンと言っても
そこまでの勇気や覚悟は、真優にはないという証拠だった。




「私は…

 私は普通でいいんです…」


今までのように普通に働いて
いつかは、心が通じ合う恋をして
結婚して
仕事は続けるか辞めるかは2人で相談して
子供が出来て…


『真優
 それなら 今のままでいいじゃない
 割り切ればいいのよ、これも仕事のうちだって
 それにね 今までのように真面目に働けば
 部長だって、いつかちゃんと見てくれると思うわよ?

 厳しいことを言うようだけどね 真優
 真優の言う普通の家庭の女の子はね
 結婚できなかった時の 経済的なことまで考えるの
 1人で生きていく不安を抱えながら
 必死で働くしかないのよ』


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