恋する淑女は、会議室で夢を見る


*...*...*...*...*





「真優が秘書なんて 想像できないけど
 クスッ
 がんばってね」


「ですよねー
 似合いませんよねー
 自分でもそう思います…」

―― ハァ


クスクス





金曜日、第二営業部による真優の壮行会があった。

送別会ではない。
専務秘書としての前途を祝しての壮行会だ。




「真優が来て1年とちょっとか…
 長かったような 短かったような」

「ほんとですね
 短かったような… 長かったような…」





異動を命じられてから金曜までの数日間
真優は、自分が入社してから約1年を見直す数日になった。


主な仕事は氷室先輩とペアを組んでいた。

なのでそのほとんどが事務的作業の引き継ぎだけで済んだが、
1つだけ、
立ち上げの頃から真優が中心になって進めてきたものがあった。


その仕事の新しい担当者は真優と同期の高橋君に決まり
引き継ぎを済ませて、氷室先輩と3人で取引先へ行ってきたのは
今日の午後である。


『そうですか、それは残念だなぁ…』

少し寂しそうに、取引先の担当者にそう言葉をかけてもらった時は、
お世辞だとわかっていても、胸が熱くなり
真優は涙を堪えるように唇を噛んだ。



―― 努力が報われた

そう思った…。

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