恋する淑女は、会議室で夢を見る


でもそのあと、
いつものように仕事の話になって
いつものようにメモをとろうと手帳を広げたところで、
ペンを持つ手が宙に浮いた。


『そうしますと、この件については…』
『ええ、ではそのように…』

取引先と話を進めるのは、
仕事を引き継いだ高橋君で
質問に答えるのは、もう自分ではなかったのである。

『それはいい提案だ』
『ありがとうございます』

真優が口を挟まなくても、打ち合わせは順調に進み
滞りなく終わった。





これまでずっと
コツコツと努力を積み重ねて、
自分だからこそと思える成果をあげてきたつもりだった。

だからこそ、
部長や課長に青木の娘だからと
いいように連れまわされることに憤っていたのだ。



…だけど 



「華子先輩…
 
 あっけないもんですよね
 私がいなくても、第二営業部はなんにも困らないしー
 ほんと、
 自分の存在の軽さを、実感しました」
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