好き嫌い愛と情。

「…誰、ですか?」



目の前に立つのは顔立ちの整った長身の男性。

中学生でもないし、祐樹先輩みたいな高校生という感じも全くしない






雨が強さを増していく。


それと同時にその人との距離がどんどんと縮まり





ぎゅっ




…へ?


「ちょ、離してください!」


濡れた身体を気にせずに抱きしめる



これが世に言う不審者か!

暖かい時期は気を付けろって先生が言ってたのが何故かピンと頭に浮かんで不安になる



「離さない…離さないよ……」




不審者…不審者なのに、……

辛そうな声で。
なのに優しく抱きしめられて。



抵抗はしちゃいけないって思わせられる変な感覚。



雨音が響く傘の下


「誰ですか?」


落ち着いて尋ねると意外にもスッと離れて顔を見合わせ

「小さい頃、何度か遊んだけどやっぱり覚えてないよね。

隣に引っ越してきました
遼って名前だからよろしくね
ゆきちゃん。」





名前を聞いた瞬間
胸の中で何かがざわついたのがわかった


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