残業しないで帰りたい!
頬杖をついて退勤状況をパソコンでじっと見ていても、相変わらず青山さんの退勤にチェックは付かない。
まだいるの……?
頑張りすぎだよ。
……。
やっぱり、声をかけて帰ってもらおう。
疲れた頭で作業しても、かえって効率悪いよ?
よしっ!今度こそ!
覚悟を決めろ!
行くぞっ!
自分に小さく喝を入れ、意を決してそっと営業課を覗いた。
見ると青山さんはデータの取りまとめを終えて慎重にチェックをしているところだった。
お、良かった。終わったね?
ちゃんと見直したりして、真面目だなあ。
高野の資料なんかテキトーでいいのに。
彼女は立ち上がると印刷した資料を高野の机に置いた。
それを見て、つい反射的にいったんササッと廊下に退避してしまった。
……!?
おいおいっ!
覚悟を決めたんじゃなかったの?
話しかけなよ。
普通に話しかければいいだけなんだからさ。
大きく深呼吸した。
はあっ……。
よしっ!
行けっ!
勢いよくもう一度営業課に入った途端、コツッと足音が鳴って、青山さんがビクッと固まったのがわかった。
……気づかれた!
いやいや、気がついてもらっていいんだよ。話しかけるんだから。
……。
えーっと……。
「こんな時間まで一人で残業かー?」
自分でもビックリするくらい棒読みで間延びした言い方になってしまった。しかも懐中電灯で肩を叩く演出付き。……何やってんのよ、俺。
そんな自分に辟易していたら、恐る恐るゆっくり振り返った彼女と目が合った。