残業しないで帰りたい!
青山さんが女の子って言われたくない理由は、今ここで俺が考えたってわからない。
でも、彼女がどんな過去を持っていようと何者であろうと、好きだという俺の気持ちは変わらない。それだけは自信を持って言える。
俺の気持ちは絶対に揺るがない。
だから、できることなら、もう一度チャンスが欲しい。
彼女に振り向いてほしいんだ。
……自信はないけど。
はあ……。
せめて嫌われている状態から浮上したい。
嫌われて落ち込んでたからってわけじゃないけど……いや、落ち込んでたからなんだけど、残業していた青山さんを頭ごなしに叱った大塚に、今朝キツイ言い方をしてしまった。
「大塚。この間、残業してる社員を理由も聞かないで頭ごなしに怒ったんだって?」
「はっ?はあ……」
大塚は青山さんだけじゃなく、販売促進課の子たちにも「さっさと帰れ」と怒鳴っていた。昨日、彼女たちに囲まれてブーブー文句を言われたから、すごくめんどくさかったんだ。
大塚は冷たくデカい態度とは裏腹に、かなりの小心者だ。自覚はしていたけれど目に怒りが現れている俺に、大塚は相当ビビっているようだった。
「大塚、見回りする意味、考えたことあんの?ただ帰すだけじゃダメなんだよ。なんで残業しちゃいけないのか、社員に意図が伝わんないでしょ?どうやって対策考えんのよ」
「すみません……」
「俺が出張だったから頼んだのに。自分がやってる仕事の意味も考えない、目先の事しか考えない奴に頼んでもしょうがないのかな」
自分が考えていた以上に低い声で、しかも嫌味な言い方になってしまった。気が付いたら人事課はシンッと静まり返っている。
ああ、もう!
いつもならこんな言い方しないのに。
どうしてこう、いろいろうまくいかないんだろう。