残業しないで帰りたい!
胸の疼きを隠してしれっと答える。
「サボってる」
「そんなことは見ればわかりますよ」
「じゃあ何が知りたいの?」
「別に、何ってわけでは……」
青山さんは困ってうつむいた。ちょっと意地悪な質問だったかな?
「……いいよ、教えてあげる。俺がここで、何してたのか」
「?」
「……」
「……?」
覚悟を決めたんだ。本当のことを正直に伝えよう?
俺の正直な気持ちを……。
小さく息を吸い、緊張で息が乱れる自分を振り切った。
「……君のことを、……考えてたんだ」
覚悟を決めたわりに囁くような小声になってしまったのが悔しくて、その代わりに青山さんをじっと見つめた。
「えっ?」
青山さん、俺を見つめてじっと動けずにいる。
また怖がらせちゃったかな?
俺は自嘲するようにフッと笑った。
「君と一緒にいて、すごく楽しかったんだ。君は俺のくだらない昔話に興味を持ってくれて、話してみたらたくさん共通点があって、心の底から楽しくて何かを感じていたのに。それなのに俺ときたら、結局君を怖がらせただけだったなって。そんなこと、考えてた」
「すみません、私がいけなかったんです」
君が謝るなんてお門違いだよ。
優しいんだね。気を遣ってくれて。
「なんで?違うよ、俺が悪かったの。君はなんにも悪くないよ。……入社した頃、君が困った感じで制服を気にしていたのは、もしかしたら女の子っぽい制服を着たくなかったからなのかな?」
「……なんで、そんなこと知ってるんですか?」
青山さん、驚いてる。
そりゃ、驚くよね?
「見てたからね。入社してきた時から君のことがずっと気になってたんだ」
こんなことを言うなんて……。
もう告白しているのと同じだ。
でも、本当のことなんだ。
ずっと君のことが気になっていた。
気になっていた、なんてもんじゃない。
俺は君に一目惚れしたんだ。