残業しないで帰りたい!

少しだけ彼女の方に顔を傾けた。

「君は……」

「?」

「ここで寝てたのが俺じゃなくても、あんな風に近寄ってじっと見たりしたの?」

「えっ?そ、それは……」

うろたえる彼女。

君は寝てたのが他の男でもそばに寄って見つめたんだろうか?
そう思うだけでチリッと胸に痛みが走った。

俺はヤキモチ妬きか?バカなのか?
君が他の男を見るだけでイヤだなんて。
独占欲が強いんだろうか。

「あの……ずっと、起きてたんですか?」

あらら、気がついちゃった?
まあその件については正直に言おうとは思ってたけど。

俺は彼女を振り返って肩をすくめた。

本当のこと、正直に言うよ。
どう、思うかな……?
バカだと思うかな。
嫌いになる?

「寝てないって言ったでしょ。君のこと考えてたら突然目の前に君が現れたからさ、反射的に寝たふりしちゃったんだ。……ごめん」

「ええっ!?」

「俺のことなんか見なかったことにして、そのまま通り過ぎんのかと思ったのに。どんどん近付いてきて、穴が開くほどじーっと見るから、どうしようかと思ったよ、ホント」

自分のバカさ加減に呆れつつ、恥ずかしさにうつむきながら思ったことをそのまま伝えた。正直に伝えたら胸が軽くなったような気がした。

そして、ふっと見上げた青山さんの表情に目が釘付けになった。

……頬が赤い?
なんだろう、照れてるの?
それとも恥ずかしがってるの?

耳まで赤くして。

これは……。
ヤバい!
めちゃくちゃ可愛い。

俺が寝たフリをしていたことは何とも思ってないのかな?
それより自分が近寄って見ていたことを恥ずかしがってるの?
< 148 / 259 >

この作品をシェア

pagetop