残業しないで帰りたい!
しばらくすると、営業支援係の白石さんと沢口さんがいきなり俺を訪ねてきた。
ん?
君ら何の用?営業支援係のこと?
それならなんで青山さんが来ないの?
そんなことを思った俺は少し機嫌が悪く、二人が俺の机の横に立っても、頬杖をついてやる気なく見上げただけだった。
「あの……」
「なあに?」
「藤崎課長にお願いがあるんです!」
「だから、なあに?」
「応接室の前にいる久保田係長にどいてほしいんですけど、私たちが言っても聞いてもらえないんですよっ。藤崎課長からどくように言ってもらえませんか?」
は?
なんだそれ?
俺が言えば久保田さんが退くと?
やめてよ。
久しぶりだな、そういうの。
久保田さんが言うこと聞かないから言ってよって言われんの、久しぶりだ。
昔はよくあった。
でも、俺が言ったところであの人は言うことなんか聞かない。
たぶん俺はものすごくめんどくさそうな顔をしていたと思う。
「俺が言ったって無駄だよ」
「でもっ!私たちが言うよりは効果があるんじゃないんですかー?」
「ないない!それに君らだって応接室、すぐに使いたいわけじゃないんでしょ?」
「そうじゃないんですっ!うちの青山さんが閉じ込められちゃってて」
「!?」
青山さんの名前を聞いた途端、頬杖をついていた姿勢からハッと体を起こした。そして、状況を理解してガタッと立ち上がった。
そんな俺を見上げて白石さんは話を続けた。
「久保田係長、急に7階に来てお茶出しに青山さんを指名したり、片づけるのを手伝おうと思って来たら応接室には入れてくれないし。あの人、なんかおかしいんですよー」
それは……マズイな。
さては久保田さん、青山さんを商談相手に紹介したなっ!
なんてこと……。