残業しないで帰りたい!

ソファーに移すためには抱き上げないと……。女の子を抱き上げるなんて、そんなことするの、初めてだな。

あまり深く考えずに、持ち上げようと体の下に腕を差し込んだ。

「!」

うわっ!
びっくりしたー……。

……すっごい柔らかい。

彼女の温もりと柔らかさは腕から一気にゾワッと通り抜けて、胸の奥で甘く痺れた。

女の子ってこんなに柔らかかったっけ?
気を失ってるから?

この感触は……ヤバいな。はまる。癖になる。また触りたくなる。

あんなに触りたかった青山さんに、こんな形で触ることになるなんて……。

不本意だけどその反面、堂々と青山さんに触って抱き上げられることを嬉しいと思っている自分に嫌気がさす。

そのまま勢いよく持ち上げようとしたら、青山さんの頭が力なくグラッと傾いた。

いけないっ!
そーっとそーっと。
大切に持ち上げないと。

肩から包み込むようにして頭を腕に乗せ、慎重に持ち上げた。

あれっ?
意外と……重いなあ。
まあ、意識のない人間を持ち上げようとしてるんだから当たり前か。

ついうっかり「どっこいしょ」なんて言葉が漏れてしまった。

自分の方へ包み込むように抱き上げると、グッと彼女の重さと柔らかさが腕にかかって、切なさが胸の奥を押した。

意識のない青山さんを見つめる。
君が俺の腕の中に納まっているなんて。

できることなら、ずっとこのまま腕の中に留めておきたい。包んで見つめていたい。

でも、そんなことはできない。
わかってるんだけど。

名残惜しさに後ろ髪を引かれながら、しぶしぶソファーにそっと青山さんを横たえた。
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