残業しないで帰りたい!
はあ……。
離したくない。
そう思った時。
腹に違和感を感じた。
生暖かい?
ふと下を見ると、ワイシャツのあちこちに赤いものが付いている。驚いて目を見張った。
えっ……!
なにコレ!?
……血?
エエッ?
なになに?
えっ?どうして?
……まさかっ!
ソファーに横たえた青山さんをバッと見ると、その手は血で真っ赤に染まっていた。
「あぁっ!」
思わず声が出た。
なんてことっ!
どうして血が……。
切ったの?
どうして?
いつ怪我をした?
よく見ると小指の下が深く切れている。
ああっ!
どうしてこんなことにっ……。
なんでさっき気がつかなかったんだろう。
抱き上げることに夢中になって気がつかなかったんだ。
こんな傷、意識が戻ったら絶対に痛いよ。
それに、跡が残らないだろうか。
まだ血が出てる……。
ダメだ、そんなの!
急いで血を止めないと!
慌ててハンカチを出し、傷口を閉じるようにしてその上からハンカチで強く押さえて念じるように握った。
止まれ!止まってくれ!
「どうしました?」
沢口さんが覗き込んだ。
「手を切ったみたいなんだ……」
「あらっ、本当ですね。割れた茶碗で切っちゃったのかしら?」
なによ、それ?
緊張感ないな。
青山さんがこんな怪我をしてるっていうのに!
もっとちゃんとして!
下を見ると絨毯にも血が染みていた。
こんなに血が出ちゃったの?
なんていうことだ。
君の大事な血が……。
手で押さえてるだけじゃダメだ。応急処置をしないと。