残業しないで帰りたい!
「救急車、呼ぼうかと思ったんだけど大丈夫かな?頭を打ったりしてない?気持ち悪かったりしない?」
「そんな、救急車なんて、いいです。全然大丈夫です」
青山さんは救急車と聞くと、焦ったように起き上ろうとした。
気を遣って自分は大丈夫って言いたいの?
ダメだよ。
起き上ろうとした彼女の肩を押さえてソファーにもう一度横たえた。
彼女をソファーに柔らかく押し付けた感触を、一瞬でもベッドに押し倒している状況に重ねて錯覚しようとする俺は本格的にバカだ。
「まだ起きないで。しばらく横になってた方がいいよ」
「……はあ」
青山さんは困ったように天井を見上げた。
表情は落ち着いているね?
もう大丈夫かな?
それにしても青山さん……。さっきから俺、たくさん触ってるけど、怖くないの?
俺、青山さんが怖がらないのをいいことに、ここぞとばかりに触りまくってる。
どのくらいまでなら触っても平気なのか、確かめるみたいに。
いや、隙があれば触ろうとする自分を抑えられないだけかもしれない。
でも、青山さんは俺が触っても怖がるそぶりは今のところ見せない。
男に触られても平気なのかな?
あの男が特別にイヤだった?
それとも……俺は、特別?
そんなわけ、ないか……。
もしかして、触っても平気なのは今だけ?
今は目が覚めたばかりで、状況がよくわかっていないだろうし。
それとも本当にただの貧血?
男に触られて倒れるなんて、そんなの現実的じゃないかな?