残業しないで帰りたい!

翌日……。

倒れてあんな怪我をしたというのに、青山さんはまだ帰っていない。もうすぐ7時だよ?

生真面目な青山さんは仕事を終わらせようと、残って仕事をしているんだろう。

明日やればいいのに。だいたい今日だって休んでもいいくらいだったのに。

昨日半休したから仕事が溜まっているのもわかるけど、まだ体調も良くないだろうし、怪我をしているのに無理して残業するなんて。

……何やってんだよ。

心配だったのもあるけれど、自分の思った通りに動かない彼女にイラッとして、また言うことを聞かせたくなった。

最近の俺の悪い癖だ。
いけないってわかっているんだけど、どうにも止められない。

まだ7時前だったけれど、他の課には見向きもせず、まっすぐ営業課に向かった。

そして、彼女を見つけると上司ぶって「今すぐ帰りなさい!」なんて命令口調で言ってしまった。いつもの自分じゃない感覚に戸惑う。

それなのに、予想外に彼女も口答えなんかしてきたから、ますます押さえつけたくなって、つい手加減せずに言い負かせてしまった。

俺みたいな管理職が入社2年目の女の子を上からヘ理屈で捻り潰すなんて簡単なことだけど、なにも青山さんにそんなことしなくてもよかった。

はあぁー……。
もー!何やってんのよ、俺。

俺はバカだ。
今度こそ本当にダメだ。

だって。
だって、泣かせてしまった……。

更衣室から出てきて俺を見た途端、大粒の涙を落とした彼女を見て、胸が張り裂けそうになった。俺を見て泣くなんて……怖いの?

ああ、もう!
守りたい、大切だなんて思ってるくせに泣かせるなんてありえない!
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